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EU AI Act の汎用 AI 行動規範、最終版コンサルテーション開始——全 AI プロバイダーに実質的な義務
EU AI Act の「汎用 AI(GPAI)行動規範(Code of Practice)」最終ドラフトが 2026 年 5 月に公開され、最終コンサルテーションフェーズが開始された。EU でサービスを提供する全 AI プロバイダーに透明性・著作権・セキュリティ評価等の義務を課す内容で、2026 年 8 月の発効に向けた最終段階に入った。
概要
※本記事は公開情報をもとに編集部が再構成したサマリです。一次情報は出典欄をご参照ください。
EU AI Act のうち「汎用 AI(General Purpose AI, GPAI)」に関する中核ルールである「GPAI 行動規範(Code of Practice)」の最終ドラフトが 2026 年 5 月に EU AI オフィスにより公開された。2026 年 8 月 2 日の GPAI 規定発効(AI Act Article 53-56)に向け、最終コンサルテーション(意見公募)フェーズが開始された。行動規範は EU でサービスを提供する全ての GPAI モデルプロバイダーに適用される実質的な遵守枠組みとなる。
事実のポイント
- 適用対象: EU 市場向けにサービスを提供する全ての GPAI モデルプロバイダー(OpenAI・Anthropic・Google・Meta・Mistral AI 等を含む、規模・国籍問わず)
- 主な義務カテゴリー(最終ドラフト):
- 透明性(Transparency): モデルの能力・限界・学習データの性質に関する技術文書の公開
- 著作権遵守(Copyright Compliance): 学習データの著作権ポリシーの整備、右利者からのオプトアウト要求への対応仕組みの整備
- システミックリスク評価(FLOP閾値以上の高能力モデル): 重大インシデント報告義務・外部評価実施・リスク軽減措置
- セキュリティ評価: 第三者による能力・安全性評価(Red Team を含む)
- スケジュール:
- 2026 年 5 月〜6 月: 最終コンサルテーション期間(産業界・市民社会からの意見募集)
- 2026 年 8 月 2 日: GPAI 規定の正式発効(AI Act の段階的施行スケジュールに基づく)
- 行動規範の性質: 法的拘束力を持つ EU AI Act Article 53-56 の義務の履行方法として機能。準拠を示す主要なルートの一つとなる
用語・背景の補足
汎用 AI(GPAI): 特定の目的に限らず、広範なタスクに対応できる AI モデル。GPT-4 / Claude / Gemini / Llama 等の大型言語モデルが代表例。EU AI Act では、FLOPs(浮動小数点演算回数)で訓練コストが一定規模を超えるモデルを「高能力 GPAI(systemic risk)」と分類し、より厳格な規制を課す。
行動規範(Code of Practice): EU AI Act 本法の規制義務を具体的にどのように遵守するかを示す、産業界と EU AI オフィスが共同で策定するガイドライン文書。単なる推奨事項ではなく、これに準拠することで法的義務の遵守推定(presumption of conformity)が生まれる実効的なルール。
FLOP 閾値(10²⁵ FLOPs): EU AI Act が「高能力 GPAI」を識別する技術的基準。この閾値を超える訓練コストを持つモデル(GPT-4 級以上とされる)には、セキュリティ評価・インシデント報告等の追加義務が課される。
注意点
- 行動規範への参加はプロバイダーの「自主的参加」形式だが、参加しない場合は代替手段で AI Act 義務への準拠を証明する必要があり、実質的に参加が前提となる構造
- EU でのサービス提供を行う日本の企業(AI ツールを EU 居住者向けに提供する場合を含む)も適用対象となりうる点に注意
- 著作権遵守ルール(学習データのオプトアウト対応等)は、Bartz v. Anthropic 等の米国訴訟とも連動する業界横断的な課題
編集部見解
(追記予定)
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