articleニュース
カナダ「AIDA」高リスクAI定義の施行規則パブリックコメント締切——事業者への適用範囲が確定へ
カナダのAIおよびデータ法(AIDA)の施行規則策定に向けたパブリックコメント期間が5月30日に締め切られる。高リスクAIシステムの定義・影響評価義務・違反時の最大$25百万の制裁金など、実務上の鍵となる詳細が確定段階に入った。
概要
カナダ革新・科学・経済開発省(ISED)は、人工知能・データ法(Artificial Intelligence and Data Act / AIDA)の施行規則案に対するパブリックコメント期間を2026年5月30日に終了する。2024年末に成立した AIDA の実効性を左右する「高リスクAIシステムの定義」「影響評価(Impact Assessment)の実施要件」「透明性報告書の提出義務」の詳細が、今回の施行規則で確定する。ISED によると、最終規則は2026年Q3に官報掲載、段階的施行は2027年以降の予定。
事実のポイント
- 高リスクAIの規制案定義: ①採用・評価・解雇に使用するAI②信用・保険・公共給付の判断に使用するAI③医療診断・治療推奨AI④司法・矯正分野のAIを高リスクに分類
- 高リスクシステムの事業者には「影響評価報告書」の策定・保管(5年間)と政府への提出が義務付けられる予定
- 制裁金の上限: 故意の違反に対して $25百万(約$25 million CAD) または全世界売上の5%のいずれか高い方
- 「汎用AIシステム(Foundation Model / General Purpose AI)」の規制扱いは引き続き議論中。EU AI Act の GPAI 規定と整合させる方向で検討
- パブリックコメントには業界団体・市民社会・個人が参加可能(意見受付フォームは ISED 公式サイト)
- AIDA はカナダのデジタル憲章実施法(Bill C-27)の一部として成立
用語・背景の補足
AIDA(Artificial Intelligence and Data Act): カナダの連邦レベルのAI専門規制法。EUのAI Act と同様にリスクベースアプローチを採用し、高リスクAIの透明性・説明責任・安全性を義務化する。カナダは G7 主要国の中で初めてAI専門規制法を制定した国の一つ。
汎用AIシステム(General Purpose AI / Foundation Model): GPT・Claude・Gemini のような大規模言語モデルを指す。単一目的ではなく多様なタスクに使えるため、どの時点でリスクを評価するかという難問がある。EU AI Act では2025年から GPAI 提供者への追加義務が始まっており、カナダも同方向での整合を模索している。
影響評価(Impact Assessment): AIシステムが人権・安全・プライバシー・公平性に与える影響を事前・定期的に評価するプロセス。評価結果は政府に提出され、問題のある場合は修正命令や使用停止が命じられる可能性がある。
注意点
- 今回のパブリックコメントはあくまで「施行規則案」への意見であり、最終規則は変更される可能性がある
- カナダの AIDA は連邦法だが、AI規制にはケベック州など州法による追加規制が重なる可能性があり、複層的なコンプライアンスが必要
- 北米で事業展開する企業は米国各州法(テキサス TRAIGA・コロラド SB205等)と AIDA の両方を考慮した統合コンプライアンス体制の構築が求められつつある
編集部見解
カナダは英語圏のG7国として、米国と EU のAI規制の「橋渡し役」的な立場にある。AIDA の高リスク定義が確定すれば、採用・金融・医療のAIシステムを持つ企業に対して影響評価の義務が生じる。特に日本企業がカナダに子会社・パートナー企業を持つ場合は早期に確認が必要だ。
info 公開情報をもとに編集部が再構成したサマリです。一次情報・追加情報は出典欄をご参照ください。